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取材/文 九州男児永野
 NCネットワークチャイナ深圳事務所 (全6回)
第四回
『部下は見えても、部下には見えない。』
-- マネジャーの心得① --
これまで3回に渡って「組織づくり」の視点から学んできた原田式経営理論ですが、皆さまいかがでしたでしょうか?「いくつか取り入れたよ!」という企業さんもたくさんいらっしゃるのでは? しかし、これまで学んできたのは「SOLIDの組織」という言わば外側。上辺だけ分っても、肝心の中身が分らなければ意味が無い! そこで、今回からはその「組織づくりの核心」、「人の動かし方(マネ-ジメント法)」について、ご紹介します。

マネージメントの基本。それは、「部下に指示したことを理解してもらう」こと。しかし、皆さんの会社では指示の真意が理解されないまま、上から下へ伝わる「伝言ゲーム」になっていませんか? それこそが原田氏の言う「部下は見えても、部下には見えない」状態。上司は部下を理解しているつもりで指示しても、部下には上司の心が何も伝わっていないということ。まして、文化や言葉が違う外国人相手に日本と同じ感覚で接して、部下が動くことはないでしょう。

では、相手に指示をしっかり理解してもらうにはどうすれば良いのか? その前に日本人・中国人の一般的なマネージャー像を表にしてみました。
日本人から見た「中国人マネージャーの短所」
■個人主義である
 ・金銭、情報は個人。行動は集団
 ・評価に対する不満や要求がしつこい(自己中心型)
■探究心/分析力/応用力が弱い
 ・物や人に対する不信感が強い
 ・弁解や言い訳が先
■大局が見えない/考えない
 ・行動や思考が狭く、価値判断が損得勘定
 ・1つの理由が立つとすぐに諦める
■人に教える能力が低い
 ・指導力が弱い…聞く立場で考える(教える立場で聞かない)
 ・説得力が弱い…相手の立場に立ち、伝えたいことを整理しない
中国人から見た「日本人マネージャーの短所」
■中国人を信用していない
 ・中国人を育てたがらない
 ・人の話を聞こうとしない
 ・権限移譲ができない
■何を考えているのか良く判らない
 ・頭が固く、口先だけで、心は冷たい
 ・表現が曖昧でどうしたらよいか判らない
 ・謙遜しすぎで卑屈に見える
■独創性がない
 ・前例がない、他社はやっていないが口癖
 ・細かいことまでいちいち本社へ聞く
 ・「何があっても頑張れ」が口癖

皆さん、それぞれ心当たりがあるのでは? この表を見比べて、「考え方がここまで違うのだから、協調していくのはムリ!」と諦めた方はいませんか? しかし、原田氏曰く「日本人も中国人も本質は同じ。要は発言・行動に一貫性が無いことが問題」。つまり、文化や言葉の違いがマネージメントの障害なのではなく、真の障害は一貫性の無い「指示の仕方」にあるということ。指示に一貫性が無いことが不信につながり、相互理解の妨げとなっているのだ。

では、SOLIDではどのように一貫性を持った指示をするのか? 原田氏曰く「重要なのは、指示の内容を明確に定義すること」。つまり、初めからルールを決めておくことで一貫性を保つという。

~指示を明確化するために必要なルール~
SOLIDでは、指示を「募集、暗示、相談、依頼、命令」の5段階に分類し、それを徹底的に浸透させることによって、部下に指示の意図・優先順位・重要度を素早く理解させている。

部下への指示が「今、どの段階なのか」が明確になるため、指示する上司と指示される部下の双方にとって誤解がなくなり、円滑な組織運営が可能となる。但し、上司、部下共に言葉の意味を理解していることが大前提。原田氏によると、SOLID着任から2年間は部下への指示はすべて⑤命令と④依頼だったとのこと。しかし、現在は、ほぼすべての指示は①募集と②暗示で片付くという。つまりSOLIDは原田氏が意見を押し付けることなく、限りなく社員の自主的な判断、行動で運営されていることを意味し、それはそのまま社員一人一人が満足度の高い仕事をしているという証拠になる。例えば、職場で部下が上司に対して「この指示は相談ですか? それとも命令ですか?」なんて言葉が社内で飛び交うようになれば、指示が円滑に行われている証拠なのだ!
※指示5段階の補足説明
①募集:やる気を持って取り組める人が自然に集まる。部下の自主的な判断、行動に任せる。
②暗示:それとなく話題をもちかけ、部下が自主的に行動するように仕向ける。
③相談:賛成、拒否の選択権があくまで部下に与えられている。
④依頼:半ば強制的であるが、部下も意見を言える余地がある。
⑤命令:強制的、上司の意見をそのまま反映させる。

※「強制性、自主性について」
部下の能力を引き出すには自主性を強める必要があるが、緊急を要する内容では強制性を高める。
■ワンポイントレッスン<社員の叱り方編>
「叱る」という行為。これはもちろん部下のことを思うからこそ。しかし、タイミングを誤ると大きな問題に発展しかねない。そこで原田氏の説く「叱り方」をご紹介。

①「すぐに対処すべき叱りごと」
※ 仕事・技術的な部分は「午前に叱る」。
※ 性格的な部分は「午後叱る」。最後には必ず「『今日上司にこう言われたけど、私ってこんな性格なのかな?』と友人や家族に聞いてみな!」と言う。そうすることで、上司は感情的に叱ったのではなく、これは皆も少なからず思っていたのだと間接的に本人に気づかせることができ、上司へ不満を抱かない。

②「急を要しない叱りごと」
給料日後に叱ること。給料日前はお金が無くイライラしている場合が多い。そのため会社への不満が爆発しかねない。無用なトラブルを避けるためにも、給料日後に。
※読者のみなさまへ
連載「世界最強の工場経営」において、読者のみなさまが感じられた疑問、質問には、原田氏自らお答えいたします。また、みなさまのご感想など、生の声を是非お聞かせください。
ご質問こちらから 、件名に「世界最強の工場経営」と記載ください。

次回は、『第五回「そんな上司の下で働きたいですか?」 ~マネージャーの心得②~』お楽しみに。

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