中国の工場検索No.1/モノづくり受注サイト
取材/文 九州男児永野
 NCネットワークチャイナ深圳事務所 (全6回)
第五回
『そんな上司の下で働きたいですか?』
-- マネジャーの心得② --
突然ですが、今の会社の「上司」は自分で選択できましたか? ほとんどの方の答えは「NO」だろう。「上司は選べない」のが常識。それなのに、「部下は上司の鏡」と広く言われるように、望む望まないに関係なく、(部下は)上司の影響を強く受ける

経営者を頂点とし、ピラミッドを形成する会社組織。例えば、その中に1人でも組織を乱す上司が出てきたとしよう。すると、その上司の部下達にまで影響することは誰にでも想像できる。その逆もまたしかり。会社組織とは「上司次第で、どうにでもなる」のだ。「良い会社を作りたい!」と願うのであれば、真っ先にあなたが良い上司になること。「自分1人が変わったところで…」と諦めず、その一歩を踏み出すことで、会社は自然と良い会社になるはず

では、ここからが本題! 「どうすれば良い上司になれるのか?」、「SOLIDではどうやって良い上司を育てているのか?」。
写真説明: 原田氏に「食事がマズイ」と不満を言ってきた社員がプロジェクトを立ち上げ、食事を改善した食堂。味だけでなく、調理スタッフの態度も改善された。

まずは、さんざんこの連載で述べてきた「明確化する」という原則に従って、「理想の上司」を定義してみよう。「幅広い見識と知識を有する・責任感が強い・発言がブレナイ、芯がしっかりしている」、「実行力、決断力がある・リーダーシップがある・企画力に優れている・面倒見が良い」など、いくらでも挙げられるだろう。このように、一度でも会社で働いたことのある人間ならば、「理想の上司」を持たないはずがない。理想とは、自分がそうなりたいと望む姿。つまり、「理想の上司」とは、将来自分がなりたい上司像そのものであり、「今の自分に欠けているもの」と言えるのだ。もうお分りだろう。理想の上司になる近道。それは自分に欠けていることを補えば良いのである。

「そんなこと言っても、職位のある人間ならともかく、現場のワーカーにはハードルが高すぎる!」、「そもそも、こんな厳しい時代。教育にお金は使えない!」と思われた方も多いのでは? それも正解! 一般的に、生産ラインのワーカーは一挙手一投足に目が配られる。毎日与えられた仕事をミスなくこなすことが要求され、「如何に効率を上げられるか」が最も重視される。そんな効率だけが求められる世界で、「理想の人材・上司など生まれるはずが無い」と思うのも当然。ちなみに、毎年SONYからベスト・オブ・サプライヤーとして認められてきたSOLID。ワーカーに求められる仕事レベルはどの工場よりも厳しい

では一体、SOLIDと普通の工場はどこが違うのか? その答えが、ワーカーを総経理にまで育て上げる最も重要な機能「プロジェクト制度」(PJ)である。

「プロジェクト制度」(PJ)は問題を提起した者がリーダーとなり、社内全体に対し問題解決プロジェクトへの参加者を募る。そして、自発的に集まったメンバーと一緒に問題を解決していくというもの。プロジェクトを完結させるにはメンバー個人の社内調整能力、交渉力、実行力が求められる。そのため、自然と自らの能力が磨かれ、リーダーとしての素質が備わっていくのである。

しかし、原田氏が狙う一番の目的はリーダーとしての素質を磨かせることではない!原田氏がPJを取り入れた理由とは、毎日同じ事を繰り返し、機械のように動くことが求められるワーカーに、部署の壁、職位の壁を取り払い、自分を表現できる場所を提供すること。人として自らの知的欲求や好奇心がくすぐられる、そんなワクワクする感覚を味わってもらうことにあるのだ。

人は心の底から満たされる喜びを知って初めて、人として成長する土台が備わる。PJとは、リーダーたる前に、まず人であることを学ばせる「仕組み」なのだ。人とは「働くことで得られる喜び」さえ学べば、自然に成長意欲、向上心が沸き起こり、気づかぬうちに己に足りないモノを補おうとするものなのだ
写真説明: 食堂出口にあるアンケート。もし「不満足」ボタンを押した社員がいれば、担当者(写真右)が、その場で理由をヒアリング。結果は即座に調理場へ知らされ、改善に活かされる。(味・職員態度など)評価が高ければ、給料へも反映される。

さて、2回に渡ってお送りした上司(リーダー)学。そして、過去5回に渡りお送りしてきた「世界最強の工場経営」。これまでご紹介してきた仕掛けはすべて、「人間」の生まれ持つ自然な意欲、本能に基づいて考えられていることに気づくだろう。つまりこれは、原田氏が「人」というものを執拗なまでに観察し、理解した結果に他ならない。SOLIDの原点、それは「人の心」なのである。

「SOLID工場見学・勉強会」のお知らせ
 突然ですが、現総経理の原田則夫氏は来年初旬をもってSOLID社を引退されます。原田氏のご厚意で、引退直前の12月にEMIDAS読者向け「SOLID工場見学・勉強会」を開催できることとなりました。
 記事だけでは見えない、「本当のSOLID」を是非ご自分の目で確かめてください。本当に、これが最後のチャンスです! 詳細はNCチャイナ・メールマガジン、NCチャイナサイト上にて告知いたします。

※SOLID工場見学・勉強会は12月18日開催を予定しておりましたが、 中止となりました。何卒ご理解の程、宜しくお願いいたします。
※読者のみなさまへ
連載「世界最強の工場経営」において、読者のみなさまが感じられた疑問、質問には、原田氏自らお答えいたします。また、みなさまのご感想など、生の声を是非お聞かせください。
ご質問こちらから 、件名に「世界最強の工場経営」と記載ください。

次回は、『第六回(人に)使われ、任され、使い、育て、譲る」~原田式経営哲学~』お楽しみに。

Untitled Document
事例から教える
中国で成功する生産システム導入の条件
モノづくり・人づくり仕事づくり
《FNA雑誌》

最新号:2012年新春号配布中!

メールマガジン