EMIDAS 2010年夏号特集
2010年5月、待ちに待った上海万博がついに開催されます! NCネットワークチャイナのEMIDAS会員さんには、パビリオンの部品の一部などで
上海万博に貢献された会社さんがたくさんいらっしゃいます。 今回は、その一部である4社の会員企業さんをご紹介します。
「製造業のためのEMIDAS」ならでは、製造業のための上海万博楽しみ方指南。
ルクセンブルグ国家館の壁面
鋼板レーザー切断作業
元富士電機のエンジニアである沈吉泉総経理が率いる上海新
虹激光加工有限公司は、 レーザー切断と板金加工の専門企業だ。
アメリカのPRC2000Wレーザー機と日本製NTC4000W飛行光学
レーザー機を備えている。 国産機なら公差0.1mmまでが限界だ
が、 日本製レーザー機なら0.05mmまでに対応できるという。 創業
以来、 国家重点工程の加工作業などで豊富な経験があり、 顧客も
アメリカ、 日本、 ドイツ、 フランス、 スウェーデン、 イタリア、 香港、 台湾
など多岐に渡る。 在中日系企
業の顧客では、 三菱エレ
ベータ、 安川電機、 富士電機
といった大手企業と長期的で
安定した関係を築いている。

沈吉泉 総経理

レーザー切断機

ルクセンブルグ館外観の一部
上海万博に関する業務で
は、 ルクセンブルグ国家館の壁面 (外壁、 内壁、 床など) に使われる特殊鋼
板のレーザー切断作業を受注した。 この
ヨーロッパ製の特殊な鋼板は耐候性鋼材と
呼ばれるもので、 鋼の表面に錆のバリアを
作ることで、 その下にある素地の大気腐蝕
を防ぐ特性があるというもの。 環境に配慮し
て、 加工油を使用せずに切断した。
ルクセンブルグ国家館は、 国家館として最
も早く着工したパビリオンであり、 同社では昨年の7月から約半年
間で500トン以上の耐候性鋼材を切断した。 図案や大きさは
3500種類もあり、 ほとんどが 「同じものが2つとない」 状態だった
そうで、 相当な仕事量だったそうだ。 また、 常に各パーツの組み合
わせ方に注意しているため、 材料を10%以上節約することができ
たという。

ルクセンブルグ館建設の様子
14758上海新虹激光加工有限公司
上海市閔行区梅隴鎮向陽路152弄58号6号廟房
Tel: 021-3350-6326
総経理:沈吉泉
韓国館の外壁、フランス館の金属フェンスなど
板金加工、造管加工
日本の住宅産業向けにアルミ手すり、目隠しフェンス、階
段の補助手すり、住宅用軽量鉄骨部材などを製造している大
川丸和建築材料(上海)有限公司。商品の7割が日本向けの輸出
品だが、在中外資系企業向けにアルミやステンレスの板金加
工も行っているほか、TOTOの便器の鉄骨構造部分やコマツの
発電機の外枠なども生産している。
アルミ加工と板金加工のラインのほか、静電粉体塗装用の
塗装ラインと構造用鋼管を製造するための造管ラインがある
のが大川丸和の特徴だ。日本仕様の精度の高さを保つため、
設備のほとんどがアマダやコマツなどの日本製である。

徐兵 総経理

造管加工の設備
今回の上海万博では、複数のパビリオンにかかわる業務を
受注した。最も大規模なのが韓国館。外壁の4面のほか、内
装も関わっている。ハングル文字で構成される造型を持つと
いう韓国館は、昨年の3月から計画が進み、10月から正式にプロジェクトが開始したという。ほかに、
庭園と水の美しさを表現するフランス館
の金属フェンス類はすべて同社が請け負
った。多くの省エネ・環境保護技術が採
用され、閉幕後も施設として使われる世
博中心(万博センター)のトイレはTOTO製
のものが導入されており、その鉄骨部分
は壁の中に入っているため外からその姿
を見ることはできないが、これも同社によるものだ。さらに、
5千年の歴史を辿る中国館では、OEM生産しているオランダ
のブラインドメーカー・ハンターダグラス社の装飾品が導入
されることになっているという。

万博で使われる加工品の一部
中国館、イタリア館のドアのネジ
上海益尚精密螺絲有限公司はネジの
専門メーカーだ。 同社のネジは家電、 自動
車、 建築、 通信、 機械設備、 風力発電など
の分野で広く使われており、 顧客は中国
国内企業が中心だが、 外資系企業や合資
企業もある。 ネジの種類は1万以上。
米国ANSI、 ドイツDIS、 英国BS、 日本JIS、
国際ISO、 中国国内GBの規格に対応。 また、
環境対応のネジはSGSの認証を得ており、 RoHS規制にも対応している。

尚金波 銷售工程師

ドアに使われたネジ
素材は鉄、 ステンレス、 銅がメインで、 新日鉄、 住友ステンレス、 台
湾の華新麗華などから高品質のものを仕入れている。 また、 同社の
ネジのメッキや熱処理は、 宝鋼など大企業と同じ台湾企業に依頼し
ている。
上海万博では、 中国館、 イタリア館など、 8つのパビリオンのドアの
ねじを、 地下鉄や新幹線などの部品開発を行っている中国南車集団
経由で納品した。 なお、 北京
オリンピックにおいても、 「水
立方」 などのいくつかの建
物の内部で使われていたそ
うだ。
5678上海益尚精密螺絲有限公司銷售工程師:尚金波
上海市嘉定区嘉羅公路7号橋新成村388号D-1棟廟房
Tel: 021-6996-8293
中国館内部のネジ各種
上海金福五金は開発から生産、 セール
スまでを一貫して行うネジの専門企業だ。
販売営業部では受注後、 すぐに納品でき
る体制を整えており、 ユーザーの倉庫代
わりとしての機能を果たすため、 数は1つ
から対応、 ミニマムロッ トも設定していない。
上海万博では、 複数のネジが中国館の内部
で使われたそうだ。
工場は金山区にある。 かねてより開発に力を入れており、 同社では
2004年からRoHS対応ネジを開発し、 SGSの認証も受けている。
2006年からは、 環境に優しいチタンネジを開発製造している。 チタン
は軽く、 強く、 耐食性に優れ、 経年劣化がほとんどない。 原子構造が安
定しているため金属イオンが溶けにく く、 人体や環境にも無害。 リサイ
クルにも優れ、 現代のニーズに合う金属として注目が集まっている。 主
に医療機器、 電子機器、 航空や自動車部品などの精密機器に使われ
ており、 ドイツ、 韓国、 日本な
どに輸出しているそうだ。

営業担当 蒋青

営業所にある豊富なサンプル
チタンのほか、 炭素鋼、 合
金鋼、 亜鉛、 ステンレス、 銅、
アルミなどの素材を扱い、 ダ
クロ処理ネジや金型用ネジ
も扱っている。
13984 上海金福鈦業製造廟
上海市北京東路668号科技京城C118-128室
Tel: 400-820-5557
営業担当:蒋青
JETROインタビュー
Q.万博の与える経済効果と万博開催後のJETROの活動について

安藤勇生 副所長
上海にある企業はビジネスが拡大し、
地下鉄や空港などのインフラが整備され、
それに伴う雇用の拡大が挙げられる。 さら
に、 4つの建物 「中国館」 「世博中心(万博
センター) 」 「文化中心 (文化センター) 」
「テーマ館」 と 「世博軸 (万博大通り) 」 につ
いては、 すでに万博終了後の再開発プロジ
ェク トが計画されており、 万博前後をトータ
ルで見ると、 非常に大きな経済効果となる。
JETROでは日本館の建築・運営を受託し、 日本の最新技術や先端技術を世界に
PRしていくが、 同時に上海万博をチャン
スとして、 在中日系企業のビジネス拡大の
お手伝いをしていきたい考えだ。 具体的
には、 上海万博の熱が冷めないうちに中
国の内陸部にて日本の最新技術や先端
技術を含む 「日本ブランド」 を紹介したい。
JETROでは来年度の大きな課題に、 「中
小企業のビジネス展開支援」 を挙げてい
る。 日本の企業は中小企業でも、 高い技術
をもつ企業が多い。 また、 今後は中国市場
への本格展開と、 内陸部への進出を希望
する日系企業が増えると考えている。
毎年11月初旬に開催される工業博覧
会においてJETROは、 日本パビリオンを組
織し、 「環境」 分野の優れた技術や製品を
紹介している。 今年はそれに加え、 中国内
陸部の地方政府に日系企業の進出が期待
される業種などを事前にリサーチし、 対日
系企業の窓口となって、 日系企業の内陸部
進出のマッチングとサポートを行う計画だ。
「製造業あっての日本」 。 日本市場が疲
弊、 縮小しつつある中で、 日本企業、 在中
日系企業の中国での展開がこれまで以上
に重要になる。 JETROはそのサポートをさ
らに強化していきたい。
日本貿易振興機構 上海代表処副所長 安藤勇生
中国上海市延安西路2201号上海国際貿易中心319号021-6770-0489