日系企業との取引により高められた技術力
携帯電話やモバイル機器などに使用されるプリント基板。昆山市にある昆山華揚電子有限公司は1992年の設立以来、プリント基板の研究・開発と製造を行ってきた。同社が得意とするのは、薄さわずか0.2ミリ以下の小型・軽量・薄型をはじめとする付加価値の高い製品である。片面だけに電子部品を実装する単層基板だけではなく、ウエハースのように絶縁体と回路を積み重ねて電子部品の実装密度を高めた多層基板も手がけ、世界の携帯電話機メーカー大手10社中5社に採用されている。2004年12月には、プリント基板の大量生産メーカーとしては中国で初めて、全製品をROHS対応製品に切り替えるなど、技術力、環境意識ともにも高い企業として知られている。総経理の馬洪偉氏は「4層、6層の多層基板を製造できる技術力は中国内の電子部品メーカーの中でトップクラス。世界的にも認知されている」と自信を覗かせる。 同社が高い技術力を獲得してきた背景には、日系企業との取引の拡大がある。同社が日系企業との取引を開始したのは約10年前の1998年。大手電気機器メーカーとの間で約1年半をかけ、製造工程の管理手法やプリント基板の品質について「確認・審査と改善」を繰り返し、ようやく取引開始にこぎつけたという。これが同社の技術力を向上させる契機となった。「日系大手電気機器メーカーとの取引が始まる以前は、単層基板など単純な製品しか製造できなかった。ところが日系企業からの要求は4層や6層の多層基板へとどんどん高くなる。必死で追随していったのです」。設計や製造工程などでアドバイスを受け、自社でも研究・開発部門を強化した。その結果、「4層や6層の多層基板、フレキシブルプリント基板などを製造できるようになった。この10年間で技術力は著しく向上したと実感しています」。
戦略的パートナーとして、新たな関係性の構築を目指す
同社の現在の売上高は約2億元。そのうち約80%が日系企業との取引が占めている。馬氏は日系企業との取引を通じて「ものづくり」に関して多くのことを学んだという。「現在でも取引のある日系企業から約2カ月に1回、工場の視察があり、技術者からアドバイスをもらい、意見交換もしています。その過程で品質において『究極を追求する』という姿勢を学びました」。また、不良品発生時の対応についても、「日系企業と欧米企業とでは大きな差異あることを感じた」と語る。「日系企業は不良品発生の原因究明と対処方法についてアドバイスをしてくれる。欧米など海外企業は、不良品が発生すると取引を打ち切られてしまうこともありました。日系企業と取引するメリットはそんなところにもあるのです」。 中国屈指の技術力で日系企業との取引を拡大してきた同社だが、やはり世界経済後退の影響はあるようだ。ここ数年は前年比70%程度の高い成長率を維持してきたが「2008年は約20%を達成するのがやっと。2009年はさらに厳しくなる」という。直近の2008年12月の受注金額では前年同期比30%の減少となった。その一方で、足元の厳しい環境をチャンスとしても捉えている。「日系企業はさらなるコストダウンに注力する。技術と品質という弊社の競争力で日系企業と共同開発などができればコストダウンを実現できる。今後は単なる電子部品メーカーではなく戦略的パートナーとして認知してもらえるように、さらに技術力に磨きをかける」。馬氏の視線は、日系企業と中国企業の新たな協業の姿を見据えているようだ。
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