米国ニューヨークを本拠地とするゼネコン・ストラクチャトーンのアジアの拠点として、日本のスーパーゼネコン出身の重光信雄氏との合弁の基に設立されたストラクチャトーンアジア・エスアンドテックス(以下STA社)は、香港に本社を構える総合建築請負企業だ。香港本社のほかに、日本、韓国、シンガポール、中国、台湾、ベトナム、インドに支社を置き、日系企業と欧米企業のアジア進出に伴う工場やオフィスの設計・施工を数多く請け負っている。今までEMIDAS誌上でも多くの事例を紹介してきたが、今回は起業の歴史を交えながら、その強みについて、重光社長に直接お話を伺った。
NC 御社の強みとする、『コンストラクション・マネジメント』とは、施主と施工業者が直接契約を結ぶ、欧米の手法とお聞きします。実際に、御社は米国ニューヨークのゼネコンとの合弁ですが、そのきっかけについてお話いただけますか?
重光氏 私は88年から、日本のいわゆる「スーパーゼネコン」に在籍し、中華圏での建築に携わってきました。台湾をきっかけに、北京には80年代後半から、大連、上海、マカオなどに頻繁に足を運び、92年に香港駐在になった時、「これからの時代は中国!」という感覚をわずか1週間で、肌で感じましたね。香港から深センに入ったときに感じるエネルギーと言ったら…。同時に、これまでの日本のゼネコンのやり方――仕入れコストを下げれば簡単に儲かる、一括「いくら」の一括請負方式の時代――では続かないのではないかと思いました。
NC お客様へのコストメリットが少ないと。
重光氏 そうです。今でこそ「市場」としての魅力あふれる中国ですが、当時、多くの企業が中国に進出する目的は「コストダウン」でした。そのため工場やオフィスの建設コストにもシビアになる。建築業者もそのニーズに応えられなければなりません。欧米企業は、建設コンサルタントと一緒になって、建材のひとつひとつの価格を確認していました。お客様がコストダウンに真剣なのを目の当たりにしました。
NC そしてお客様の要望に答えられる手法を持った、ストラクチャトーン社と出会ったわけですね。
重光氏 ロンドンでの仕事でご縁があって。当時、ストラクチャトーン社もアジアに目をつけていたのですが、商習慣が違いすぎてうまく行っていなかった。そこで、一緒にやらないかと。
NC でも、重光氏は当時、スーパーゼネコンに在籍されていたのですよね?
重光氏 人生に一度か二度のチャンスだと感じ、起業を決意しました。それで、2000年の1月、ストラクチャトーン社の副社長、チャーリー・マックマハン氏と話をしに、ひとりロンドンに旅立ちました。戻れない出発です(笑)。ロンドンは寒かった。でも、チャーリーの青い目は真剣でした。
NC それで2000年に香港からスタート、現在に至るわけですね。ストラクチャトーンアジア・エスアンドテックスとしての最初の事例など。
重光氏 2001年、精密機械メーカーの仕事ですね。当時、取締役でもあった担当者は、私に「コスト削減にどう貢献できるかきちんと示してくれ」と言いました。工場は無事、東莞に完成しました。
NC 見事、期待に応えたのですね! 時代は変われど、お客様の「コストダウン」ニーズは変わらぬものと存じますが、ところで現在、中国でも日系、欧米系の内装・建築会社が多くなってきていますね。その中での御社の強みとは、コンストラクション・マネジメントによるコストダウン以外にも何かありますか?
重光氏 中国の、香港企業に優遇措置をとる政策、「SEPA」を利用した建築ライセンスです。SEPAを利用しないと、外資企業はこの建築ライセンスが取りにくいのが現状です。このライセンスがないと、施工中、事故などがあったときにお客様が責任をとらされる場合があります。このライセンスを人から借りて施行している業者もあるので注意が必要ですよ。それからもうひとつ、弊社は中国以外もベトナムや、特にインドでの対応も可能なのが強みだと思います。
NC 中国以外での展開は、御社の今後の展望にも繋がりますね。
重光氏 ベトナムは「地雷除去証明書」を得ることから施行が始まるんですよ…。インドも法律のグレーゾーンが多く、中国以上にコストなどの面でお客さんが損をしやすい状況だと思います。やはり、弊社の原点、「コンストラクション・マネジメント」がお客様のお力になれると思いますね。弊社のインドでの事例はまた、EMIDASをご覧ください(笑)。
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