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これからの中国市場について
~この不況をどう見るか? 今後求められる在中日系企業のかたち~
山善(上海)貿易有限公司  岡俊彦 総経理
上海日比野圧鋳有限公司  多気史隆 総経理 鈴木英夫 副総経理
(左から上海日比野圧鋳 鈴木副総経理、同社 多気総経理、山善(上海)貿易 岡総経理)

大手機械専門商社・山善(上海)貿易有限公司の岡俊彦 総経理と、著名アルミダイカストメーカー・上海日比野圧鋳有限公司の多気史隆 総経理と鈴木英夫 副総経理に対談をお願いした。不況にあえぎ、先が見えないと不安を募らせる在中日系製造業にエールを送る。

世界不況から最も早く脱出するのは中国

岡氏 北京で行われたCIMT2009(中国国際機床(工作機械)展覧会)に行ってきまして、米・英・独・西・伊・印・日と8カ国が参加していましたが、一番活気があったのは中国企業でしたね。瀋陽、武漢、昆明など中国各地のトップメーカーが、造船や水力発電などで使われる巨大な機械を展示していました。会場からは、中国政府が国内の工作機械メーカーを積極的に育てている気概が感じられましたね。「世界で真っ先に不況から立ち上がるのは中国」と言われていますが、本当にそうだろうと思います。

多気氏 自動車についても、GMもフォルクスワーゲンも、この3月は出荷数が過去最高、ホンダも5月から増産体制だそうで、中国の自動車市場の景気はすでに回復していると言えますね。

鈴木氏 中国で驚かされることは、日本のモーターショーの来場者は車を持っている人がほとんどですが、中国は車を持っていない人がほとんど、ということ。将来的な自動車市場の伸びがどれほど大きいか分かります。

岡氏 小ぶりの、4万元台の安価な車が飛ぶように売れていますね。ほかにも、中国政府は中西部で積極的な公共設備投資を行い、建機メーカーの回復支援にも力を入れています。建機は昨年に落ち込み、今年1月までの生産はほとんどゼロでしたが、2月には持っていた在庫を全て売り尽くし、3月に再度生産を始めたものの間に合わないほど、中国内需の景気は完全に戻ってきましたね。今後は新幹線、風力発電などの産業を強化するようです。

多気氏 これからが本当の意味での「中国の時代」になりますね。国民の所得が上がり、文化的ニーズも広がっていく。市場の可能性は本当に大きいです。日本の過去年間経済成長率はわずか1~2%で中国は8%以上。日本の自動車の販売台数は、もはや中国の半分以下。なにより日本の市場は少子高齢化などでもう伸びないですから、日系企業は中国市場に焦点をあわせてやっていくべきでしょう。5年後には、日本本社の売り上げを抜く在中日系企業も増えるでしょうね。

今こそ構造改革に取り組み、力をつける時


多気氏 昨年の今頃、弊社は生産が絶好調で「人員が足りないのでは」と心配していたほどでした。しかし、その後、我々のような沿岸部の輸出企業はまさに金融危機の影響を受けまして、生産は低迷。もう少し早く内需に切り換えておけば良かったと思っています。中国の自動車は今や生産も内需も世界一。日本製の部品は円高の影響でさらに高くなり、そのうえ輸入時に複雑な税金がかけられているのですから、在中日系自動車メーカーも高くて使えないという背景から、本格的な現地生産化に取り組んでいます。

弊社は現在、7年ぶりの赤字ながら生産が落ちているこの時期を「社員教育の絶好のチャンス」として、内需向けの試作に取り組んでいます。工場も増設の予定で、実は環境基準の手続きで半年間遅くなったのですが、結果的に鉄骨の値段が去年の半額になるなど、むしろ良いタイミングでした。いま取り組んでいる努力は、2010年以降に実るだろうと思っています。

鈴木氏 重力鋳造(グラビティー)の設備を今年中に導入します。ダイカストよりも複雑な寸法精度に優れ、きれいに仕上がる鋳造設備ですが、中国にほとんどないので、おかげさまで引き合いも多く、手応えを感じています。

中国市場で生き残る日系企業の条件とは?

岡氏 増設には蓄えがないと無理なわけですから、「中国に蓄えを残して、さらに発展させよ」というオーナーのお考えがまさに活きていますね。撤退を選択する企業さんは、日本本社がすべての利益を得る構造になっていたところが多いでしょう。日比野さんは2001年と進出が早いですが、「二免三減」のような外資系の特権撤廃後に進出した企業でも、オーナー自ら「中国市場に挑戦する」と意気込んで進出したところは、不況でも好調なところもあります。

多気氏 私自身は14年間に渡って中国ビジネスをやってきましたが、日本本社は中国支社のマネジメントに関与すべきでない、と考えています。説明しても、日本では状況が理解できないからです。中国で上手くやっていく秘訣は「スピード」と「決断力」。総経理が決断を日本本社に丸投げしていては、現場を管理できません。中国は日本のスピードの5倍ですから、モタモタしていたら何もかも乗り遅れてしまいます。

岡氏 日本からの管理は定期的に中国にいらっしゃって、その都度、しっかりと状況を把握するのが一番良い方法かもしれませんね。

鈴木氏 ただし、技術面は日本に頼らざるを得ないので、協力体制はよりいっそう必要になります。

これからの取り組みと目標

多気氏 時代が変わり、「中国製」の地位が変わりました。購買者は「中国製かどうか」ではなく、値段、ブランド力、性能で決めます。性能が良いことは大前提。つぎにブランド力。コストは最も大きな要素となります。中国において日本と同じ機械を使い、日本同様までマネジメント能力を上げれば、当然、世界的にも高い競争力となります。中国市場では技術力のみならず、コストでの競争力を磨いていくことが大切だと考えています。

岡氏 WTO加盟後の翌年に進出し、この6年間は中国の高度経済成長が感じられる時代でした。最後の半年は落ち込みましたが、「これから這い上がっていくんだ」と、改めて思いを新たにしています。最近、新規開拓として100社以上を訪問しましたが、不況といえども意欲的な企業が多いので期待しています。弊社は欧米系、中国系の比率も上げながら、中国で挑戦する製造業を広くサポートさせていただけるような企業でありたいと考えています。この4月に帰任し、本社海外部への配属となりますが、今後もアジア地域の成長に注目していきます。

 
 
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